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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラル

今日はズバリ結論からいいます。カーボンニュートラルとは、「二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量と、その削減量や吸収量が釣り合っている状態」を指します。
もう少し具体的に言うと、「人間の活動により排出される温室効果ガスの総量が、自然や技術的手段を用いて吸収または削減され、結果として大気中の温室効果ガスの量が増減しない状態」と言えると思います。

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このように言われるとなんとなく納得してしまいますが、カーボンニュートラル(CN)といいつつ、実は温室効果ガスにCO2以外も含まれていることはご存じでしょうか。温室効果ガスには7種類が指定されており、中には一酸化二窒素(N2O)や六フッ化硫黄(SF₆)などカーボンを含まないガスも入っていて、カーボンニュートラルといいながら実はカーボン(C)だけではない、というかなりややこしい話なのです。
ではなぜカーボンだけが強調されているか、日本の事例をもとに確認してみましょう。環境省「令和5年版環境・循環型社会・生物多様性白書」によると、日本が排出する温室効果ガス別の地球温暖化への寄与度(2021年度)は、二酸化炭素(CO2)90.9%、メタン(CH4)2.3%、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)4.6%、パーフルオロカーボン類(PFCs)0.3%と炭化物が全体の98%を占めています。つまり、少なくとも日本においては、CO2に代表されるカーボンを含んだガスが最大の温暖化要因だと言えそうです。

それではカーボンニュートラル実現のためのアプローチにはどのようなものがあるのでしょうか?
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①再生可能エネルギーの導入:

太陽光、風力、水力、地熱などの再生可能なエネルギー源を利用し、化石燃料に依存しないエネルギー供給システムを構築します。グリーン水素などのクリーンエネルギーを使用した燃料電池発電機や燃料電池フォークリフトの利用は、このアプローチに含まれます。

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②エネルギー効率の向上:

省エネルギー技術の導入やエネルギー使用の最適化を通じて、全体的なエネルギー消費を減少させます。高効率な機械や建物の設計、交通システムの改良などに代表されます。当社のToyota Super Driveモーターなどの高効率モーターやNEOSコントローラーといった高効率デバイスの活用は、まさしくこのアプローチに含まれます。

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③持続可能な農業と森林管理:

持続可能な農業の実践や、森林吸収源の保護や拡大により、自然界でのCO2吸収能力を向上させます。

④カーボンオフセット:

排出された温室効果ガスの相殺を目指す方法です。これは、例えば植林プロジェクトに投資したり、温室効果ガス削減プロジェクトを支援したりする活動です。

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⑤炭素捕集・貯留(CCUS)技術:

産業活動や発電所から出るCO2を回収し、地中や海底に安全に貯留または再利用する技術です。これにより、大気中へのCO2の放出を防ぎますが、気体であるCO2が期待どおりに長期に留まってくれるのか?など、少し疑問はあります。

⑥サーキュラーエコノミーの確立:

メンテナンス、リサイクル、リユース、資源の再利用などを通じて廃棄物を削減し、廃棄にともなうCO2の発生を抑制する手段です。サーキュラーエコノミーは生産→使用→廃棄の一方向の流れではなく、資源を再循環させることでカーボンニュートラルだけでなく、サステナビリティにも直接貢献する手段として注目されています。

現在では世界で150を超える国・地域が、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みへの参画を表明しています。国連のパリ協定では、各国が温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、その実現を目指しています。また、当社を含めた多くの企業が自社のカーボンフットプリントを算出し、削減目標を設けています。

しかし、今後カーボンニュートラルを達成できるかどうかは、国や企業の取り組みだけでなく、みなさんが日常生活の中で、「経済合理性に加え、気候変動の影響を最小限に抑えるための選択」をできるかどうかにかかっているのでは、と思います。国がより良い制度を準備し、企業がカーボンニュートラル商品を発売しても、消費者であるみなさんがそれを選択しなければ、カーボンニュートラルの実現は不可能だからです。このすばらしい地球環境を次世代に引き継げるかどうかは、みなさん次第だと言えるかもしれませんね。

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